2014.06.15

「140615-SIA評論:FIFA World Cup 2014、コートジボワール戦敗北後の展開+060221-SIA評論」を公開送付します。昨日の初戦前分析を踏まえた、初戦敗退後の分析です。  SIA評論は1990年代末よりSIAが発行し年間講読契約者宛に電子メール配信する評論誌ですが、公開配送します。佐々木


140615-SIA評論:FIFA World Cup 2014、コートジボワール戦敗北後の展開 2014年6月15日12時30分

ワールドカップ予選C組初戦の結果は、残念ながらFIFAランキング通りの結果となった。(コロンビア8位、ギリシャ12位、コートジボワール23位、日本46位)

15日未明のコロンビア・ギリシャ戦はコロンビア3-0の勝利。この結果は、昨日送付の希望的C組展開予測以上の結果となった。(14日予測引用:コロンビア・ギリシャ戦の理想的展開を述べれば、2-0以上でのコロンビアの勝利が望ましい。この場合、ギリシャは対日本戦、2点差以上の勝利を目指さざるを得ない。)

日本・コートジボワール戦は日本の1-2の敗戦。この結果、現時点での各国のC組予選突破確率はSIAの見解では、6月14日日本時間18時、初戦前の時点の「日本35%. コロンビア80%、コートジボワール40%、ギリシャ45%」から4チームの初戦終了後の6月15日14時現在「コロンビア90%、コートジボワール60%、日本25%、ギリシャ25%」となる。何れも6月14日18時予測同様、各チームの第二戦、第三戦の試合戦略や現在の得失点差を無視した場合の確率である。

予選は未だ各チーム、各2試合を残している。残り2試合をどう戦うかである。今後二試合のゲーム戦略を如何にするかを考慮する前の予選突破確率、更にFIAランキング等で示される実力差を認めた上で弱者の戦略を立てた時、日本の予選突破の可能性をどれだけ高める事ができるかである。

幸い、6月20日の第二戦もコロンビア・コートジボワール戦が先行し午前1時開始。日本・ギリシャ戦は6時間後の午前7時開始である。コロンビアがコートジボワールに勝利する確率は高い。コロンビアはコートジボワール戦、ただ勝利が必要なだけであって点差迄考慮する必要はない。

この試合結果踏まえての日本・ギリシャ戦。ギリシャは大量得点差の勝利を必要とする。日本は初戦引分に持ち込む事が出来なかったため、引分狙いは出来ない。しかし、予選突破を目指すギリシャは、日本戦で大量点差の勝利を狙わざるを得ず、一点先行しても更に責めざるを得ない。一見些細な要因に過ぎないが、コロンビア連勝後、日本・ギリシャ戦前の日本、ギリシャ両国の予選通過確率は日本が30%、ギリシャ20%となり得る。しかも、日本・ギリシャ戦の勝敗確率は日本が若干有利となり得る。このギリシャ戦に日本が勝利すれば、コロンビアの決勝トーナメントを睨んだ戦略によっては日本の予選通過の可能性は高まって来る。

コートジボワール戦を振り返ると、運良く一点を先行した時点でも引分狙いを変えず、一点失う事を恐れず攻撃に徹していればとは思うが、結果は変えられない。置かれた状況の中で最善策を図る事である。SIA評論で常々指摘して来た事であるが、前ワールドカップ監督の楽観予想も含め日本のマスコミ予測を信じる事が間違いである。彼等自らの計算尽くしの利益と功名心から生れた予測を当てにしない事である。

この事を再度指摘するため8年前の宇田司郎氏の指摘、SIA評論バックナンバー2006年2月21日号「トリノ、ホリエモン、大本営発表:情報の信頼性とマスメディア大衆社会の功罪」を引用し本日の評論「FIFA World Cup 2014、コートジボワール戦敗北後の展開」を締めくくる。
2014年6月15日14時25分 佐々木賢治筆


**********************
060221-SIA評論:トリノ、ホリエモン、大本営発表:情報の信頼性とマスメディア大衆社会の功罪 2006年2月21日


トリノとは現在進行中の冬季オリンピックの事であり、ホリエモンとはライブドアの堀江前社長である。トリノは現在進行中であり、ホリエモンは既に賞味期限の過ぎた過去の人となっている。ただ、ホリエモンが過去の人となったのは、未だわずかにちょうど5週間前、1月16日の事である。大本営発表は六十数年前のことである。この3つに共通するのは情報の信頼性の問題である。何れも情報が信用ならない点である。情報は正確さが命である。

日本のこの健忘症の時代に、大本営発表と言っても既にその意味を知らない世代も多いと思われるが、太平洋戦争中の軍部の戦果発表を一般には言う。実にインチキな戦果発表の代名詞である。ちなみに大本営とは「戦時または事変において設置された天皇に直属する最高の統帥部。1893年に制定、第二次大戦後廃止」と広辞苑には記されている。

トリノ、ホリエモン、大本営発表を三つ並べて見ると、マスメディアを通じて流される情報に踊った社会の愚かさが実に鮮明に見えてくる。マスメディアの雄弁さと、変わり身の早さも映し出されて来るので面白い。

この3つを時間の推移で見ると更に面白く、我々に教訓と知恵を与えてくれそうである。時間の推移と、情報の変質がパノラマのように見えるからである。この教訓を学ぶことは企業経営、国家運営にも必要である。

先ずはトリノである。時系列で見るとトリノ、すなわちトリノオリンピックは、皆さんが知っての通り現地時間2月10日夜、日本時間2月11日早朝に始まり、今現在2月21日でちょうど10日間経過したところである。マスメディアの事前報道とこの10日間の実際の結果は、残念なことに実に面白い。日本選手に対する事前の過大評価と実際の実力、現実とのギャップ。高い放送権料を回収し、広告収入を増大させるためにマスメディアは高い視聴率を必要とし、そのために国民の期待感を高めて来たいつものやり方ではないか。

次にホリエモンである。一昨年の近鉄、阪急合併問題から始まったライブドア堀江社長のマスコミ報道の推移とその内容の突然の変化もそれに劣らず面白い。2006年1月15日迄の報道とその後の報道内容の急変。目の前で起こった報道変化である。現在も進行中であるが、こういった報道が五週間も続くと、1月16日以前の報道を思い起こすことすら既に私達には難しく感じられる。ただ、検察が公開調査、捜査を開始し、検察筋からのみ情報が流されている状況で、全て有罪との前提に立つ報道には疑問が残る。マスコミが自らの約1年半続けたホリエモン報道に対する反省と贖罪によるが如く、1月16日以降全て有罪との前提に立った議論、報道がなされているのは何となく薄ら寒い思いにかられる。実にマスコミとは賢い組織と言えるかも知れない。自らの識見を持たず、結果を後知恵で、“識見と正義”を振りかざし最もらしく語る勇気にマスコミは満ちあふれているのかも知れない。

さて、既に歴史となって久しい大本営発表である。太平洋戦争中、国民は情報から遮断された中で偽装情報を与えられたという虚しさ、怒りがあった。この偽装情報を国民はその発表の公式名称を取って「大本営発表」と名付けたのである。ちなみに大本営発表の多くの嘘は戦後の国民的評価とは違い、多くが海軍によるものであった。しかし、本当の日本国民の不幸は大本営発表にあったのではない。太平洋戦前の日本の新聞マスコミの報道姿勢と戦後の報道姿勢の急変によって増幅されたのである。国家の命運を掛けた戦争は、今回のトリノの各種競技以上に勝ち負けがハッキリしている。銀メダルも無ければ、銅メダルも無い。ましてや入賞などは無い。戦前、戦後の日本の新聞マスコミ報道の急変、過激な好戦論から反戦論への急変はトリノ、ホリエモン報道の変遷とは比較にならないものがあった。

この3つの事例から学ぶことが出来るのは、「客観的な情報分析と判断力の養成」が如何に大事かである。マスコミの責任に触れて来たが、多くの優秀なマスコミ関係者がいるにも関わらず、なぜこういった報道、過ちが続くのかである。事がオリンピック程度なら実害は知れているが、憂うべき事態である。正しい、適切な判断、報道を行う事の出来る人々が、高い視聴率、販売部数増加の必要性から退けられているのかも知れない。あるいは、そもそもそういった能力のある人材が数少ないのかも知れない。何れにしても結果として、誤った報道がなされ国民に幻想を与え、それを糊塗するために新たな辻褄を合わせる報道がなされるとするならば、マスコミは社会的役割を放棄し、国民の信頼を失うだけでなく、存在そのものを否定する事になる。

それを許す大衆は自らの耳目を塞ぐ事になる。振り返って見るに、現在進行中のトリノは2月21日迄の日本選手の結果は彼等の実力と勝利の確率から見てほぼ実力通りであり、「実力無き者には勝利は訪れる事がない」という教訓を学んだに過ぎない。その意味では今晩のフィギュアスケートは実力通りの結果で日本国民の期待に応えると思う。(宇田司郎筆)日本時間2006年2月21日22時発信
*****************


********************
国際ビジネス、語学のプロフェッショナルハウス
佐々木インターナショナルアカデミー
〒450-0002
名古屋市中村区名駅3丁目23-6
第二千福ビル2階
052-566-5526, Fax & Tel 052-566-5528
siabest@sun-inet.or.jp ブログ http://sia-nagoya.com/
http://www.sasaki-international-academy.com/
★ 語学教育、翻訳・通訳、国際ビジネスはSIA
********************



PHOTO

RSS2.0

login

a-blog cms