2014.05.22

他山の石 再送 140520-SIA評論:策士策に溺れる、ニュース報道を聞き考えた事:タイ、中国、日本、報道
5月末が弊社の会計年度末のため5月末に向けて少しバタバタしますので、ご相談や見積り依頼は早めにお願い致します。

現在翻訳、印刷物、教育研修企画等依頼案件の遅れは発生していませんが、契約書、学術論文、国際会議、書籍の翻訳出版等の案件は早めに連絡下さい。

SIA評論購読者に5月20日送信しました下記SIA評論に対する質問が購読者よりありましたので質問に答え追記、修正しましたので再送の上公開します。


他山の石 尚、その中では言及していませんが、中ロの現在の動きは1970年代の米中国交回復当時の中国の政局を見ると大変解り易く、又韓国のフェリー事故は故朴大統領が1971年12月25日ソウル市大然閣ホテル火災事故(死者163人、内日本人10人)で軍の特殊部隊を突撃させた事例を想起させます。その被災者の中には当時韓国の盟友刻であった台湾の大使も含めれていたと思います。当時日本ではあんな事は有り得ないと言っていたと思いますが、11年後1982年2月8日東京千代田区の東北沖大地震もニュージーランドの地震(2011年2月22日)の直後でした。


140520-SIA評論:策士策に溺れる、ニュース報道を聞き考えた事:タイ、中国、日本、報道 2014年5月20日号

現在NHKのラジオニュースを聞きながらメールを纏めている。第一報が、パソコン(PC)遠隔操作事件の被疑者片山祐輔被告の話である。まさに策士策に溺れるである。

第二報がタイの戒厳令発令。タイは何かがあると軍が出て来る構図が未だ変わらず、民主主義が浸透していない。民主主義の浸透には大変な時間が掛かるものである。この点では明治維新以降1945年迄の日本は明治憲法のものと政権が長期に渡り特定人物に私しされる事も無く、政権交代も常であった点を、改めて評価したい。戦後、米軍占領下、米ソ冷戦構造の下とはいえ吉田茂の長期政権や自由民主党の長期政権が続いたが、こういった事態は戦前は無かった。それにもかかわらず戦前の民主主義を否定する考えが蔓延しているのは、良く考えて見れば実に不思議な話である。思い込みで物を見、事実を見て来なかった結果であろう。


日本の民主主義:右派左派の歴史とマスメディアの功罪
第二次世界大戦後米軍占領下、憲法改正が行なわれた。これに天皇機関説で有名な美濃部達吉氏が国際法違反であり、民主主義の原則に反していると批判した。戦後の左翼思想家や政治家は勿論、マスメディアや知識人、学校教科書も戦前の軍国主義批判の一貫として美濃部達吉氏の天皇機関説事件は大々的に取り上げて来たが、美濃部氏が「明治憲法は戦争の原因ではない。占領下の憲法改正は国際法違反である。」との発言は一切伝えてこなかった。このため未だにこの事実を知らない人が多い。実に不思議な話である。

こういった発言のゆえに美濃部達吉氏は、戦後間もなく発足した憲法改正委員会等から除外され、社会的に抹殺された。戦後、民主主義・平和・人権を叫んだ左翼は当然抹殺し、片や彼を戦前糾弾したイワユル軍国主義者や右翼は、多くが占領軍に迎合し、又そうでない人々も坊主憎けりゃ袈裟まで憎いの諺通りか、美濃部氏の発言、「明治憲法は戦争の原因ではない。占領下の憲法改正は国際法違反である。」との発言に耳を傾けなかった。もっとも、彼らも多くの国民同様、美濃部氏のこの種発言自体を知らなかったのかもしれない。時代の風潮に乗り声高に正義を叫び糾弾した人々は、当時の饒舌なマスメディアに煽られ、躍らされていた人々にすぎず、戦後の美濃部氏の発言はマスメディアが伝えなければ知りようが無いからである。無知とは怖い物であるが、日本の報道機関が意図的に伝えて来なかったとすれば中国以下である。

因みに憲法の権威者であった美濃部達吉氏が憲法改正委員会を除外された結果どうなったか? その履歴から憲法に対する深い造詣があったとは私には思えない、「当時22歳の米国人女性」が貢献したと先日も駐日米国大使が賞賛し、地元中日新聞では毎年の様に肯定的な形でその女性に関する記事を取り上げて来た。ベアテ・シロタ・ゴードン嬢(Beate Sirota Gordon 1923年10月25日―2012年12月30日)である。1943年米国カリフォルニア州オークランドにあるリベラル・アート女子大学、ミルズ大学卒、専攻はモダン・ラングゥイッジズ(引用元Wikipedia:Mills College, where she was inducted into the Phi Beta Kappa Society, and graduated in 1943 with a bachelor's degree in modern languages. 末尾佐々木注参照) この女性は日本を愛し専門分野で才能を示した方の様ではあるが、事は民主主義の根幹、憲法作成の問題である。その憲法が占領下、占領軍の指示により外国の意志により作られ、民主主義を連呼されても、民主主義の定義に反する。考えれば考える程不可解な話である。民主主義は余程の秀才以外には理解不可能な高尚な詭弁を必要とするのか、秀才とはコジツケの才を言うのか、私には解らない。


「策士策に溺れる」:中華人民共和国とマスメディア報道
「策士策に溺れる」という言葉の出典は置くとして、中国由来の庶民が語り継いで来た名言である。歴史を見れば毛沢東も策に溺れた人物であり、中華人民共和国中国共産党も、自らの言葉のレトリックに溺れつつある。他国の事はよい。他山の石として日本の教訓とすれば良い。しかし、日本国内でその被害が生れるとすると放っては置けない。「策士策に溺れる」の典型的事例が、マスコミ報道とすると事は重大である。マスコミ人は片山被告の様に恥じ入り自殺を志し彷徨する事は勿論無く、素直に罪を認めて刑に服することも無い。彼らは、無責任な報道によって収入を得、自己増殖するだけでなく、強引に辻褄を合わせた報道を行なうか、見事に忘却し新たな報道機会を虎視眈々と狙う事が多いからである。

こういった傾向は2014年5月4日号「140506-SIA評論:韓国フェリー沈没事故に見るマスコミの敗北とウイキペディア」で指摘した通りである。この点では5月15,16日に掛けての韓国マスメディアの一斉謝罪は評価に値する。5月15,16日韓国KBS、更に大手新聞がフェリー沈没事故報道を巡り一斉にそれ迄の自らの報道を謝罪した。実に希な事例である。

?小平の黒猫、白猫論争:ある日本メディアの「黒でも黒、白でも黒」報道
?小平が「黒い猫であれ白い猫であれ、鼠を取るのが良い猫である」(不管?猫白猫,捉到老鼠就是好猫)と述べている。これはこれで良い猫の定義であるので名言と私は思う。最近、ある日本の新聞紙上の中国関係記事で、「借金であれ貸付金であれ、それ故の犯罪」と言った記事を一面に報道しているのを見た。その記事を熟読しても中国当局の話を右から左に伝えているだけとしか思えない、裏を取って書かれたという証拠はどこにも無い記事である。しかし、見出しや記事を読んだ大多数の人々の抱く印象はその新聞社が有罪と報道していると思わせる内容である。当初、「借金があったために犯罪に加担した」と報道し、後に「貸付金があったから犯罪に加担した」と報道した。何れも朝刊一面である。後の記事で前の記事に対する何らの訂正、謝罪も無く報道する記者とは言ったどういった人物か? 整理部や校閲部がこの辻褄の合わない記事を掲載し何も思わないとしたら、どういった新聞社かと思う。こういった事が、文化大革命の際には毛沢東や江青主導による権力闘争の際に良く行なわれた。今も中国では行なわれている。しかし、これが日本国民の生命に関わる報道であるとしたら、実に由々しき問題である。「策士に騙された」や「策士策に溺れる」では済まない問題である。彼等の常套句を引用すれば、「事は地球より重い人命に関わる問題」である。その報道の影響は多大であり、人権侵害も甚だしく、その当事者や家族の被害は計り知れない物となる。報道をするなと言うのではない、その信憑性を確かめ前後の記事が辻褄の合う信頼できる報道を望むだけである。

中華人民共和国のマスメディアは同国共産党の定めた規定により人民に奉仕する存在である。人民の声とはそれを代表する共産党の声である。しかし不思議な事に彼等の党紀や建前とは裏腹に人民の声を共産党に反映させる制度、システムが存在しない人民共和国である。この結果、中華人民共和国国内マスメディアは中国共産党・時の権力者に奉仕するだけの存在であり、権力闘争に利用され続けて来たのが同国マスメディアの歴史である。我々は歴史に学ぶ必要がある。その歴史の教える所では同国の広報とは、海外メディアに自らを正当化する情報のみを如何に荒唐無稽であれ流すのが担当者の業務である。この辺の事情は「周恩来秘録」(原書名 晩年周恩来)からも垣間見える。第二次天安門事件(1989年6月4日)から間もなく25年となる。私も長年、その分析を続けて来たが、中華人民共和国報道には十分注意願いたい物である。(140520-SIA情報 佐々木賢治)
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佐々木注:ベアテ・シロタ・ゴードン嬢(Beate Sirota Gordon 1923年10月25日―2012年12月30日)に関心のある方上記記載の名前でウイキペディアをご覧下さい。英語版がお勧めです。


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